『 おんさ 』
2013年 05月 29日
2叉に分かれた金属製の道具。
2本の棒を 振動させると、
お互いに 共鳴し合い 音を発する。
直後に さまざまな音が まざっていても、
基音以外は 持続せず 次第に消え、
純粋な 音が 残る。
日常の私たちも、
そんな風に
いろいろな よぶんを
身につけているけれど、
毎日のなかに ある
たくさんの 出会いが、
体の中を 波打つように ひろがり、
お互いを 響かせる。
静かに 耳を すませば、
ひびきあうのは
ほんの 小さな振動。
新しいモノの、
みなれたモノの。
好きには なれないモノの、
心 ゆさぶられるモノの。
その小さな 振動に、
出会うコトの むずかしさ、
すぐに 消えてしまう はかなさ。
その中に ある、
私たちの 純粋。
だからこそ、
それぞれが
共鳴しあえる 何かに 届こうと、
小さな自分を 響かせる。
ほんの ひとにぎりでも、
たった ひとつぶでも、
その存在に、
出会えることが できるのなら。
その存在を、
心に おもうことが できるのなら。
それだけで、
なんと 心つよく、
あたたかく いられるのでしょう。
などと、
そんなことを 思うのです。
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2010年 第3回 SWIMY 共同企画展 おんさ
言葉の作品集 掲載
# by utakatashabon | 2013-05-29 09:11 | 写真と言葉